インターン学生の声
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。3月25日のAPICカントリー情報早朝講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。

「東南アジア・南アジアの政治経済情勢」を傍聴して

　東南アジア・南アジアの各国の政治・経済に関する最新の情報が、日本との関係性をまじえつつ取り上げられた今回の早朝講演会は、個人的に改めて同地域への関心をかき立てるものであった。特に、「インド・パシフィック経済圏」に関する話が印象に残ったので、以下に詳しく述べたい。

　講演会で説明された「インド・パシフィック経済圏」の意味するところは、インドネシアやベトナムなどASEAN地域だけでなく、インド、スリランカ、バングラデシュなどSAARC諸国も急激な経済発展を遂げ始めていることで、南アジア・東南アジアの両地域が経済的に結びつきを深めているという点だ。2014年にはインドは5.63%、スリランカは7.00%、バングラデシュは6.21%の経済成長率を遂げた。岸田外務大臣も2015年1月のインド訪問時に「インド太平洋時代のための特別なパートナーシップ」と題されるスピーチの中で、南アジアと東南アジアの連結性を強化することでインド太平洋地域全体が一つの巨大な経済圏として発展できると述べた。

　南アジア地域と東南アジア地域を、一つの大きな地域としてとらえる見方は個人的には新鮮に思えた。しかしながら、2007年8月、インド国会での当時の安倍総理大臣のスピーチに同様の内容が含まれていたことに私は驚いた。「二つの海の交わり」（Confluence of the Two Seas）と題されたその演説では、太平洋とインド洋の結合と「拡大アジア」について言及がなされた。2007年当時は交通網などインフラ整備が今以上に不十分だったため、南アジア地域と東南アジア地域の連結に関する議論は幾分理想論に近かったと推測できる。しかし現在では南アジア諸国の急速な経済発展に伴い、実際に結びつきの深まった一つの経済圏として同地域を見なすことができるようになったことは、非常に興味深いと思う。

　「インド・パシフィック経済圏」について検討することで、東南アジア地域、南アジア地域、太平洋とインド洋の総合的な経済発展と安定のために日本を含め各国が担うべき役割には何があるか考えさせられる講演会であった。

(参考)
2007年8月安倍総理大臣のスピーチ (外務省ホームページ)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/19/eabe_0822.html

2015年1月岸田外務大臣のスピーチ (外務省ホームページ)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/in/page22_001770.html


インターン生
慶應義塾大学3年　亀山健

(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)