インターン学生の声
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。5月19日のAPICカントリー情報早朝講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。

「シンガポールの発展と日本」を傍聴して

　　　　　
「シンガポールの発展と日本」と題された今回の講演では、主に現在のシンガポールの政治経済や日本とシンガポールの関係についてのお話を竹内春久前駐シンガポール大使から拝聴した。今回の講演の趣旨をまとめた上で私なりの考えを述べる。

　 シンガポールは１９６５年にマレーシアから独立して、人民行動党による安定な政治が行われ、現在ではリー・シェンロン首相が独立から第４世代の閣僚を起用するなど政治における世代交代が着実に行われている。また、貿易立国として経済政策を展開し、一人当たりの名目GDPは世界第７位の位置を占めている。このようにシンガポールが発展している要因について、大使はシンガポールが周りを大国に囲まれているため、常に危機感を持って一歩先のことを考え、リスクを取って積極的な政策を採用しているからだとおしゃった。だからこそ、シンガポールは徹底的な能力主義で、市場を開いて資本を招いているのだと思った。

　そのようなシンガポールであるが日本との関係は非常に友好であると大使はおっしゃった。シンガポールには明治期より商社等が進出しており、経済的な関係は深い。現在では、約850社の日系企業が進出し、東南アジアでの統括拠点として機能している。また、国家間においても日本がEPA(経済連携協定)を締結した最初のパートナはシンガポールであったし、三ヵ国協力のＪＳＰＰＡ２１(21世紀のための日本・シンガポール・パートナーシップ・プログラム)を実施する過程で交番セミナーなどを行うなどの関係を有している。更に日本文化はシンガポールに受容されているとおっしゃっていた。現在、シンガポールには約１１００店の日本料理店がありラーメンなどの日本食が流行っている。日本文化センターであるＪＣＣにより音楽やアニメなどの文化も発信されており、日本文化がこのような形で受容されている。更に、今年は日本とシンガポールが間の国交が樹立して50周年であるため様々な交流事業が行われる。

　しかし、そもそもWW2中、日本はシンガポールを占領していたため、国交樹立当時、シンガポールには戦争の傷跡が多かった。だが、樹立時の首相であったリー・クァンユー首相が日本の戦争責任問題に対しては「忘れない。しかし許す。そして前に進む。」と述べた言葉のような未来志向の下、数多くの先達が様々な努力を経て現在のような友好関係を築いた。このことを踏まえ、我々は現在のような友好関係を当然視してはいけないと大使はおっしゃた。大使のこのお言葉から外交上の友好関係を築くことの努力の重要性を改めて認識させられた。また、私はこのリー・クァンユ―首相の言葉にこそ、昨今問題視されている日本と各国の歴史認識問題への解決の糸口を見いだせるのではないかと感じた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
今回の早朝講演会の内容を踏まえ、これからも日本とシンガポールの友好関係はより強固なものになるであろうと思うと同時に、シンガポールのみならず世界各国と友好関係を築く際の外交の役割についてこれから考えていきたい。

インターン生
早稲田大学3年　小山　貴大

(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)