第327回カントリー情報早朝講演会
講師:前駐連合王国特命全権大使 林景一氏
演題:「英国をめぐる内外情勢、日英関係の展望」
1. 日時:2016年7月28日(木)
午前8時30分~10時00分
2. 講師:林景一氏
前駐連合王国特命全権大使
3. 演題:「英国をめぐる内外情勢、日英関係の展望」
4. 場所:ホテルオークラ東京
5. 概要
講演では、林景一前大使より、英国をめぐる内外情勢、日英関係の展望ついて興味深いお話があった。
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。7月28日のAPICカントリー情報早朝講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。
今回は、林大使の講演の中でも内容の多くを占めた英国のEU離脱に伴う影響について、自分自身が所属するとともに、APICが国際交流事業のパートナーとして関わることの多い「高等教育機関」を対象に私見を述べたい。
「ブレグジット(Brexit)」によって生じる「問題」(もしくは「恩恵」)を耳にするとき、真っ先に聞こえてくるのは、やはり移民や貿易に関する内容であり、学生や研究資金といった教育に関する事柄はあまり俎上に載せられていない印象を受ける。
では、EUから離脱することによって具体的にどのような影響が生じうるのだろうか。まず1つ挙げられるのが、EU圏から英国に来ている留学生の費用負担の増加である。他の地域からの留学生に比べて経済的に優遇されていた「EUの学生」は、離脱によってその制度的な保障を失った場合、「海外からの留学生」として高い授業料を支払うことになるだろう。
また、単位や学位といった高等教育制度の互換性の喪失に伴う、他国の高等教育機関との連携の希薄化も想定される。授業料の高騰や制度の非互換性は、学生が英国への留学を選択する動機を薄め、結果として英国に流入する学生の動きを鈍化させることにつながりかねない。
次に考えられるのは、英国国内の大学において資金繰りが悪化することである。これまでEUは研究資金や奨学金といった形で、直接・間接的に英国の高等教育財政に資する支援を行ってきた。こうした資金的な援助を失うことは、大学運営を行っていくうえで大きな痛手となる可能性がある。
もちろん、「EU離脱」がそのまま「欧州高等教育圏」からの離脱を意味するとは限らない。ヨーロッパ全体で作り上げてきた高等教育制度の枠組みの中で、英国の高等教育システムがどのように位置づけられていくのか、今後の動向を注視していきたい。
インターン生
早稲田大学大学院修士2年 小原 和樹
(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)
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