第333回カントリー情報早朝講演会
講師:独立行政法人 国際協力機構 副理事長 越川和彦氏
演題:「日本の途上国支援の課題と展望」
1. 日時:2017年2月16日(木)
午前8時30分~10時00分
2. 講師:越川和彦氏
独立行政法人 国際協力機構 副理事長
3. 演題:「日本の途上国支援の課題と展望」
4. 場所:ホテルオークラ東京
5. 概要
講演では、越川和彦氏より、日本の途上国支援の課題と展望について、詳細なお話があった。
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。2月16日のAPICカントリー情報早朝講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。
この度の早朝講演会では、日本を代表する国際協力実施機関である独立行政法人国際協力機構(JICA)の越川和彦副理事長の講演を拝聴して、日本の途上国援助の意義に基づきJICAの活動内容が変遷しつつあることを学んだ。
JICAの最近の流れとしては量よりも質重視で、日本の良質な技術を世界へという理念に基づいたプロジェクトが行われており、例えば世界的にも評価されているインフラ技術だけでなく、教育制度や母子手帳制度など日本が独自に培ってきた制度についても、途上国支援という形で貢献しているというお話だった。先進諸国が途上国、特にアフリカ地域に多くの援助をしているのにも関わらずなかなか成果が見えないことが問題となっている中、援助が途上国に根付き効果を発揮するにはますますきめ細やかな協力が求められるのは間違いない。途上国援助が一時的なものではなく、相手国にとって持続可能なものとなるようJICAの活動方針が変化してきていることがうかがえ、日本だからこそ可能なきめ細やかな援助を目指し、世界における日本の援助の信頼性も築くというビジョンに強い信念を感じた。
また、日本の途上国援助において民間企業や地方自治体など援助に関わるアクターが多様化したことに伴い、JICAのプロジェクトも多様化しているというお話もあった。特に中小企業の技術は、国内市場では飽和状態でも途上国ではまだまだ需要があり、中小企業が途上国援助を支えれば日本国内の地方創生にもつながる。つまり、これは援助相手国と日本国内両方への効果を見出すことで利益と国際貢献のバランスが取れた画期的な視点である。そして民間企業が途上国援助に入り込みやすい環境を創ることもJICAの役割であり、例えば途上国で現地工場を建設する時に日本政府と連携しているJICAが建設の一端を負担すれば日系企業は安心して参入することができると知った。
ますます企業の社会的責任が問われるようになっている社会において、質を重視し中小企業の可能性に着目した援助体系の構築はJICAだから可能なことであり、政府レベルの援助と民間レベルの援助を繋ぐ際にJICAの信頼性が発揮されるだろうと思う。
インターン生
上智大学2年 馬場 葉月
(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。2月16日のAPICカントリー情報早朝講演会を傍聴して、次のような印象記を寄せました。
今回、スペイン特命全権大使、アンゴラ特命全権大使など国際的で豊富な経験をされた越川副理事長のお話を拝聴し、国際協力の在り方を学んだ。国際協力において、現状に即した支援や様々な要素を意識した活動の大切さを認識させられた。
お話の中でも、特に副理事長のアンゴラでの経験が心に残った。それは、国際協力の仕方によって、実際に対象国にとって持続的な効果を持つ支援ができるかどうか決まるということだ。アフリカ第2位の産油国と言われたアンゴラでは80年代当時、ヨーロッパ企業が油田を管理し、原油輸入国であった中国が道路や鉄道の整備をしていた。そのため、資金援助によりいくつかの命は救われたものの、真にアンゴラの人々の雇用や産業の育成に裨益していなかったというお話があった。他方、近年の日本の東南アジアへの支援においては、民間資金とODAが連携してインフラの整備に力を入れ、経済状況を向上させているという。様々なレベルでのアクターが連携し、現地に合った支援の仕方を考え進めていくことが、持続的で効果的な国際協力の形を作るために必要なのだと感じた。
また、現在お勤めの国際協力機構についてのお話も頂いた。JICAはさまざまな活動を進める中で、地域への貢献はもちろん、支援する側の利益と持続性、世界の他のアクターとの関係性を重視しているという。これは組織として必須のことではあるが、個人的には国際協力と言ったときに、支援する側から支援される側への一方的な流ればかりを意識しがちだったように感じる。今回の講演会に参加し、広い視野を持った活動の大切さに改めて気付くことができた。
APICの事業に関して考えてみても、太平洋地域やカリブ地域との関係を築いていく中で、日本の大学など他の組織と連携し、相手国だけでなく、日本での人材育成や日本社会への貢献に目が向けられていることを感じている。
これからも自分が関わる様々な活動において、対象とする土地の現状に適した活動をすること、広い関係を俯瞰して多方面における利益や持続性を考えることを心がけていきたいと思う。
インターン生
上智大学2年 武井 遥
(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)
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