第344回早朝国際情勢講演会
講師:外務省経済局審議官 飯島 俊郎 氏
演題:「日本の経済外交の現状と展望」
1. 日時:2018年2月15日(木)
午前8時30分~10時00分
2. 講師:飯島 俊郎 氏
外務省経済局審議官
3. 演題:「日本の経済外交の現状と展望」
4. 場所:ホテルオークラ東京
5. 概要
講演では、飯島俊郎氏より、日本の経済外交の現状と展望に関する詳細なお話があった。
APICでは、国際協力に関心のある若い世代の育成のため、「APICインターン制度」を設けています。2018年2月15日の講演会を聞いた学生から、次のような印象記が寄せられました。
2018年2月15日ホテルオークラにて行われた外務省経済局審議官飯島俊郎氏による講演会に参加した。日米の経済関係や日本のFTA戦略を踏まえながら日本の経済外交の現状と展望についてお話していただいた。
現状としては、日本が2013年に掲げた『経済連携を推進させて2018年までに自由貿易協定の比率を70%までに高める』という目標のもと、これまでに20カ国と16の経済連携協定を発効している。アメリカの離脱等により難航していたTPPも3月8日の署名に向けて準備が進んでいる。さらに、電子商取引についてはWTOで日本が議論を主導していく方針だ。日本は通信分野において途上国に330億円規模の支援をする用意もある。日本の第一線で活躍している方から、こうして日本や世界の最新の経済外交についての貴重なお話をうかがえる機会はめったにないので、とても勉強になった。
飯島氏はWTOにおける新しい試みについても言及した。WTOでは164カ国・地域の加盟国で多国間の貿易関係について合意を得ることが困難になってきている。自由貿易を主導していたアメリカが「アメリカ第一主義」へと方向転換していることも影響しているとみられる。そこで、まず有志国で合意したのちに徐々に広めていくほうがメリットがあるのではないか、というのが新しい考えだ。これによって、交渉機関というよりも紛争処理機関になりつつあるWTOが本来の機能を取り戻すことを期待している。
講演の中で特に印象に残っているのは中国の影響力についてだ。現在アメリカは、安全保障の見地から中国の動きを非常に警戒している。中国がアメリカ企業を買収しようとしたことに対してアメリカが規制をかけた例にみられるように、アメリカは中国に厳しい投資制限をしている。近年、日本でも中国からの投資が増加しているため、規制がかけられる可能性もある。しかしながら、2013年から2016年の4年間の世界のGDP成長率の中で、中国のGDP成長の寄与率が31.6%にも及んでおり、もはや国際経済にとって中国は欠かせない存在になっている。この講演で、日々変動し、各国の様々な戦略により動かされている経済外交の面白さに気づかされた。中国の投資に対する今後のアメリカや日本の政策に着目していきたい。
インターン生
上智大学2年 山本 明日香
(※このインターン生の印象記は、講師の意見やAPICの意見を反映したものではありません。)
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