第363回早朝国際情勢講演会
講師:外務省中東アフリカ局長 髙橋 克彦 氏
演題:「最近の中東情勢について」
1. 日時:2019年11月21日(木)
午前8時30分~10時00分
2. 講師:髙橋 克彦 氏
外務省中東アフリカ局長
3. 演題:「最近の中東情勢について」
4. 場所:ホテルオークラ東京
5. 概要
講演では、髙橋克彦氏より、最近の中東情勢についてお話があった。
APICでは、国際協力について大学生の理解を深めるため「APICインターン制度」を設けています。今回のAPIC早朝国際情勢講演会を傍聴して、インターン生は次のような印象記を寄せました。
2019年11月21日の早朝国際情勢講演会では、「最近の中東・北アフリカ情勢」と題し、髙橋 克彦外務省中東アフリカ局長から、中東・北アフリカ地域が抱える課題や日本との外交関係をはじめとする中東・北アフリカの情勢についてお話があった。講演会前は、中東地域における難民問題や過激派組織に関する報道をよく目にするにもかかわらず、自らの知識不足が原因できちんと中東情勢を理解していなかった。しかし、この早朝講演会を通じて中東情勢に関する既存の知識の整理が可能となった。
まず、中東・北アフリカ地域は、地域内で複雑に絡み合っており、地域における多方面での対立が多く存在することを学んだ。例えば、スンニ派とシーア派という宗派の違いに基づくサウジアラビアとイランの対立構造、外交関係を絶断したサウジアラビアとカタールの対立構造、イランへの脅威認識を共有するサウジアラビアとイスラエルの外交関係等で、こうした状況が地域内の相関関係を複雑化させていることがわかった。
さらに中東・北アフリカ地域とアメリカの関係に関しても今後注目すべきであることを認識した。イランをはじめとする中東地域とアメリカの劣悪な関係は近年になってさらに波紋を呼んでいる。10月にはドナルド・トランプ大統領がシリアの駐留米軍の撤退方針を表明し、シリアの地域不安定化の懸念が強まっている。このように中東・北アフリカ地域とアメリカの関係は緊迫したものであり、戦争が勃発する可能性もある状況である。
また、中東・北アフリカ地域はエネルギー資源の宝庫であり、物流の要衝という重要な役割も果たしていることを高橋局長は述べられた。日本の原油輸入の約8割、天然ガス輸入の約2割は中東・北アフリカ地域からであり、日本にとっても中東・北アフリカ地域は極めて重要地域であることを講演会を通じて再確認した。複雑化した中東・北アフリカ地域間あるいはアメリカをはじめとする他国と中東・北アフリカ地域間の対立が激化されることが予想される中で、資源が乏しい日本が向き合うべき課題の一つとして、いかに持続可能な手法で資源の確保または自給率を向上できるかが挙げられると感じる。
これからも中東・北アフリカの情勢、そしてそれに対する日本の役割や働きかけに注目して今後の世界動向を追っていきたい。
APICインターン生
国際基督教大学4年 内海 風花
(※この印象記は個人の見解であり、講師やAPIC及び所属組織の公式見解ではありません。)
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