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インタビュー:APIC-MCT留学生 ブラッドフォードさん&バーサさん

インタビュー:APIC-MCT留学生 ブラッドフォードさん&バーサさん
(ブラッドフォードさん(左)とバーサさん(右))

津田塾大学のインターン生は、APICとミクロネシア自然保護基金(Micronesia Conservation Trust(MCT))との連携協定に基づいて発足した、「APIC-MCT上智大学大学院地球環境学研究科留学制度」の留学生として上智大学大学院で学んでいるブラッドフォードさんとバーサさんの2名に、それぞれのミクロネシアの環境問題に対するMCTでの取り組みについてインタビューを行いました。【2018年7月6日実施。聞き手:インターン生 古川(実)、古川(真)、良永】


<留学生の紹介>

ブラッドフォード・モリ(Bradford Mori)さん
ミクロネシア連邦チューク州出身。チューク州の環境保護庁で技術協力プログラムのマネージャーを10年間務める。ミクロネシア・チャレンジにも携わっていた。現在は上智大学大学院修士課程に在籍しており、ミクロネシアの環境問題に加えて、コミュニティを基盤とした政策への転換をテーマに論文を執筆中。

バーサ・レイユ(Bertha Reyuw)さん
ミクロネシア連邦ヤップ州出身。南太平洋大学で芸術と環境学の学士を取得。MCTの仕事を通してミクロネシア・チャレンジに携わっていた。現在は上智大学大学院修士課程に在籍しており、ミクロネシアの環境問題における女性の役割をテーマに論文を執筆中。


※「ミクロネシア・チャレンジ」とは、ミクロネシアの生物多様性を保全し、持続的な自然資源の利用を図るため、パラオ共和国、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国の3カ国およびグアム、北マリアナ諸島の2地域が2006年に合意したイニシアチブ。こうした活動のために、国毎に2020年までの積み立て目標額を設定し、その資金管理をミクロネシア自然保護基金(MCT)に委ねている。

今回のインタビューでは、バーサさんはヤップ州での経験に基づきお話をしてくださいました。ミクロネシアでは奨学金やインターンなどを積極的に活用した、若いうちからの人材育成に力を入れています。資源が豊富なミクロネシアにおいて、保全活動は欠かせません。ミクロネシアチャレンジと題した保全活動では、海洋部門、地上部門、社会経済部門の3つに分かれ、活動をしているそうです。海洋部門では資源保護のため海に潜り、あらゆる種の魚、サンゴを観察し記録を取ります。地上部門では保護すべき土地を定め、その地域の人々の視点を取り入れ、保全活動を行います。また経済部門では、地域で定められたルールが有効的であるか見定め、フィードバックを行っているとのことでした。

ブラッドさんはチューク州での経験に基づきお話をしてくださいました。実際に保護地域に赴き、その状況をマップにまとめる作業を行っているとのことでした。集めた情報を地域の人たちに共有することで、彼らが現状を正しく理解することを目的としているそうです。2015年の台風によって海水温が上昇し多くのサンゴが傷ついたことや、高潮により海辺の家や作物などが被害を受けた塩害が問題となった際には、被害状況を正しく理解することが彼らに求められました。またMCTのみでは人と資金に限りがあるので、JICAをはじめとする他団体と協力して活動を行っているとのことでした。

二人は共通して地域の人々に環境問題に関するミクロネシアの現状を知ってもらうことが必要であると述べていました。そのため、現地の学校で環境についての授業を行っているそうです。活動を通して自然を守ることの大切さを理解してほしいという思いが感じられました。上智大学大学院に通う傍ら、帰国後、日本での経験をどのようにミクロネシアで生かしていけるかについて日ごろから考えているようでした。

インタビュー:APIC-MCT留学生 ブラッドフォードさん&バーサさん

Q1・環境面でミクロネシアの現状を他国へ周知するために、どのような活動をしていますか。

ブラッドフォードさん 環境問題は、異なる側面を多数持ち合わせているので環境会議を開き情報交換を行っています。また、環境会議は、ミクロネシアが抱える環境問題の現状を他国に知ってもらういい機会でもあります。

バーサさん ミクロネシアの環境問題について関心をもってもらうため、インターネットの普及に合わせウェブサイトやフェイスブックで活動の情報発信をしています。そのため、活動の様子をビデオにも残しています。さらに、この情報発信は支援金を集めるためにも役立っています。


Q2・他国からミクロネシアへの支援はありますか。

ブラッドフォードさん 私たちは、ミクロネシアの環境問題の事例を提示し、支援金が多く集まるよう努力しています。しかし、他国からいただいた支援金の多くは連邦政府や州政府が運用しており、各市町村団体には行き届いていないのが現状です。私は、もっと市民が中心となったボトムアップの環境問題対策が必要だと考えており、それぞれのコミュニティに合った対策を考えなくてはいけません。


Q3・日常生活で私たちが環境のためにできることはありますか。

ブラッドフォードさん ミクロネシアでは、積極的に2R(reduce, reuse)が行われ、着ることができなくなった民族衣装を女性が買い物袋に変え、販売する取り組みもあります。プラスチック袋ではなく、持参の買い物袋を利用するだけでも環境保全に役立ちます。

バーサさん 国ごとだけでなく、市町村ごとの取り組みが必要不可欠です。ヤップ州は、ミクロネシアで初めてプラスチック袋を禁止しました。そのため、どこのお店でも買い物袋を持参しなければいけません。また、若い世代が環境問題に関心を抱くためには、各地の学校で環境問題に対する啓発活動を行うことが重要です。自分たちで町を綺麗にしようという気持ちが一番大切だと思います。


インタビュー:APIC-MCT留学生 ブラッドフォードさん&バーサさん
(下段左から:インターン生の古川実加子さん、古川真帆さん、良永うめかさん)

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